| No.018 |
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ガラスの劇場・ホール
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最近の劇場・ホールには、客席の壁にガラスを使用する施設があります。また、私達がコンサルティング業務を進める中でも、設計者は壁をガラスにしようとするケースが時々あります。演出面から考えれば、外光が差し込むガラスは通常、壁材としては適していないと言えます。しかし、なぜ設計者はガラスを使いたがるのでしょうか。
日本ではかなりもてはやされている感のあるガラスの劇場・ホールについて、歴史上の海外の例を挙げ、考えてみたいと思います。
ドイツ、アウグスブルグのパークシアターのケース(19世紀後半)
クアハウスのカジノ等を含めた社交場の一つで小規模ながら馬蹄形の劇場です。客席壁面にはステンドグラスの窓があり客席空間の美しさに貢献しています。この場合、採光の役割としてガラスが用いられています。しかし施設の周辺は森林なので、夜になってもネオン等の余分な光が入ることはありません。
イギリス、ロンドンのクリスタルパレスのケース(19世紀中頃)
クリスタルパレスはもともと温室としてのガラス建築が、社交場として拡大し、大規模なコンサートホールに変貌したものです。当時、ガラスと鉄は新しい建材で、それらで構成されたクリスタルパレスの室内は、他の劇場とは全く異なる新しい劇的空間を創出していました。
ドイツ、マンハイムのナショナルシアターのコンペ案のケース(20世紀中頃)
これは近代を代表する建築家ミース・ファン・デル・ローエがコンペにて提案したもので、街を一周する大通りに面した施設です。それは都市との関係において劇場空間の中を積極的に見せようとするものでした。が、実際には当選しませんでした。
前二者においては、舞台芸術以外の要素を含んだ施設であること、また、建造物の外の都市との関わり(景色等)が薄いなどの特徴が挙げられます。後者はそれとは反対です。今、日本の設計者にガラスが好まれている理由は後者にあるのではないでしょうか。つまりガラス壁は都市に対するディスプレイとしての役割を果たそうとしているのです。しかし、ホールの客席の壁として重要なのは、外と内を遮断するシェルターとしての機能です。これが満たされないと劇場の客席の壁としては欠陥と言えます。
ガラス壁を用いることは、音響、構造、コスト等の面でもリスクが多いものです。ですがそれは近い将来、光の「遮断」と「透過(見えること)」の機能の両立をも含めて解決するかもしれません。しかし、外に見せることと、外の景色を取り入れることはむしろ上演者側の意志にあるのではないでしょうか。
私達コンサルティングの立場としてはガラスの壁を奨励することはなかなかできませんが、学生などにアンケートを取ると「星空の見えるホール」等、より開かれた劇場を望む意見は確固としてあることを付け足しておきたいと思います。
(株式会社シアターワークショップ 小林徹也)
No.019 |
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企業がつくるホールとは!?
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今回は民間企業のホールのお話をしましょう。
日本全国に公立ホールは2000館以上あり、一方、民間企業のホールは数としては公立ホールには及ばないものの全国に多く設置されています。
東宝や松竹といった興行主が持っている劇場・ホールもありますが、一般の私企業が設置しているホールも数多くあります。規模の大小に関わらず多くの企業が美術館、展示館、ギャラリー、ホールなど何らかの文化施設を持っています。
1980年代後半から興行会社ではない企業が文化事業に着手するケースが増え、文化施設も多く建設されるようになり、1990年の企業メセナ協議会発足や1991年の経団連社会貢献部の設置など、企業が社会貢献活動や文化事業を推進することが社会的な動きの一つになってきました。サントリーホール、銀座セゾン劇場、カザルスホール、東急文化村などはその代表的なホールです。そして都市部の大規模再開発計画には文化施設を設けることがお決まりのようになり(法的な優遇措置もあるが)、ホールが林立するような状況になってきました。
その後、バブル崩壊の影響で多くの企業の文化施設は経営が困難になってきます。文化施設や文化事業は採算が取りにくく、収益を生むことが難しいからです。そして企業所有の美術館や劇場の閉館や売却が目立つようになったのです。中にはカザルスホールのように芸術文化面で大きな効果を与える活動を続けてきた施設でありながら、オーナー企業が施設を手放すことでその活動も終わってしまうという残念な例もありました。
しかし、景気低迷が続く今日でもホールを建設しようという企業はまだまだあります。ただ、その設立主旨を文化的事象に置くのではなく、本業に則した活用や地域社会との繋がりを主とするような、ある意味では堅実なものにシフトしつつあります。前月のニュースで挙げられた第一生命ホールのように地域に根ざした地道な活動はその好例です。ホールは、そこに訪れる様々な人たち―出演者、表方スタッフ、裏方スタッフ、主催者、ホールスタッフ、観客など―が直接に出会い、交流が生まれる場所です。企業がホールを地域住民や一般社会に直接に接触できる場所ととらえ、企業がもつパブリックな使命をホールという場所を使って果たしていこうという表れではないでしょうか。そしてその手段としてホールは有効に活用できる場となるのではないでしょうか?
これから、21世紀の民間企業のホールはどのような方向に向かっていくのでしょうか。社会が目まぐるしく変化していく中で、企業のホールがどのような形で存続していくのか見つめていきたいと思っています。
がんばれ!民間企業ホール!!!
(株式会社シアターワークショップ 沖原美幸)
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