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No.031

劇場・ホールの設計者選定の新しいスタンダード
〜武蔵野市吉祥寺シアター(仮称)の設計者決定!!〜

公開ヒアリングの様子

8月11日(日)、武蔵野市が計画中の武蔵野市吉祥寺シアター(仮称)の設計者選定が行われ佐藤尚巳氏が最優秀者に選ばれました。この選考では候補者の説明、質疑応答、意見交換、投票、決定に至る全ての過程が一般公開されました。午後1時から開始された公開ヒアリングは、設計者の決定に至るまで実に7時間にも及びましたが、内藤廣審査委員長の巧みな采配もあって120名で満席の会場は緊張が途切れることなく最後までその動向を見守っていました。

私達は劇場コンサルタントとしてこの設計者選定をお手伝いする中で、以下のことを提案しました。

  • 有能な若手の建築家を候補者に選出すること。
  • 現在、第一線で活躍してる建築、舞台芸術関係者を審査委員とすること。
  • 設計者選定の審査の過程を全て一般公開すること(公開ヒアリング)。

武蔵野市吉祥寺シアター(仮称)は200席規模の小さな劇場で、舞台芸術を介した新しい都市文化の発信を目的としています。より良い施設を創るためには舞台関係者等の周囲の意見を柔軟に受け入れ、情熱をもって取り組む設計者が望まれました。そして吉祥寺の街の特性からも若手の建築家が候補者に選出されました。

佐藤尚巳案の外観

この結果、6名の候補者からの提案は、限られた狭い敷地にも関わらず多様で工夫を凝らした内容で、審査委員や傍聴者を唸らせました。また傍聴者が見守る中での候補者と審査委員とのやりとりは緊張感に充ち、会場内の集中力が途切れることはありませんでした。この公開ヒアリングの目的は、審査の公平性や透明性を確保することが主でしたが、同時に本施設を多くの市民や関係者に知らせる役割も果たしたといえます。また、この設計者選定の実現には武蔵野市の理解と勇気ある決断が大きかったといえます。市内で前例のない試みに対しても積極的に取り組む市の姿勢は、より良い施設づくりの原動力になっています。
佐藤尚巳案の内観

今後の基本設計は、武蔵野市と設計者と私たち劇場コンサルタントを中心に、舞台芸術関係者等の意見を聞きながら進められる予定です。

(株式会社シアターワークショップ 小林徹也)

(※ご意見ご感想はこちら


審査経過及び選考結果については、市のホームページ等でも公表されています。
武蔵野市企画政策室企画調整課(http://www.city.musashino.tokyo.jp/)

設計候補者(50音順)
選考委員会委員(50音順)
 遠藤 政樹 EDH遠藤設計室
 大塚 聡  大塚聡アトリエ
◎佐藤 尚巳 佐藤尚巳建築研究所
 高橋 晶子 ワークステーション
 千葉 学  千葉学建築計画事務所
○西沢 立衛 西沢立衛建築設計事務所

※ ◎:最優秀者、○:次点
 新居 千秋 新居千秋都市建築設計代表
○倉田 直道 工学院大学都市デザイン学科教授
 小林 真理 静岡文化芸術大学講師
◎内藤 廣  東京大学工学部土木工学科助教授
 中野 哲夫 武蔵野市企画政策室長
 福田 重雄 (財)武蔵野文化事業団理事

※ ◎:委員長、○:副委員長


No.032


ホールの備品計画について(その3)
ニュース VOL.021」で備品計画の全般について書きましたが、今回はホールとしてのにぎわいづくりという点であなどれない、ロビー・ホワイエの備品について少し詳しく書きます。

ロビー・ホワイエの備品はホール内の壁や床等の素材、客席の雰囲気や色、ホワイエ全体のイメージ等、特に建築的要素とマッチした備品選定が求められる空間です。そのロビーやホワイエが活きてくるのも、建築的要素に沿った家具の選定にかかってくるといっても過言ではないため、選定に当たっては設計者が行うことが望まれます。
我々劇場コンサルタントは機能面について考慮しながら、設計者と共に設計意図に沿った各備品を提案していくという作業を行っています。

主に設置される備品はソファや椅子、テーブル類(喫煙コーナーの排煙テーブルやカフェのハイテーブルもあります)です。国産のメーカーだけでなく海外のメーカーも検討しながら、ホールのキーカラー、ホワイエ等の空間の広さに沿いつつ、幕間の状況を考えて適度なゆとりを持ったレイアウトを考慮し、備品を選定していきます。

選定する際の機能面の目安として下記のような要素が求められます。

    • 貸館の状況も考慮し、演目によってホワイエの状態を変化できるように、『フレキシブルに動かせるタイプの備品』
    • 様々な方々が利用するため、『汚れがついてもとれやすい素材や、カバーリングできるタイプの備品』
    • ベンチタイプのものは独占利用者を避けるため、『人が横になれないデザインのもの』

また、ソファや椅子は、開演前や幕間に座っていただくためにも設置しているので、デザイン性がありすぎて、「座っていいものかどうか」と迷うようなものや、3人掛けなのに、一人座ってしまえば、他の人が座れなくなるようなデザインではなく、より多くの方が利用できるものを選ぶということも心がけています。

これらを考慮して予算内で選定するわけですが、カラーや素材面で海外のメーカーを選定することも多々あるため、納期等についてもしっかり確認しなければなりません。

そうそう、ホワイエに設置するダストボックスや雨の日対策の傘立て等細かい備品も意外と存在感が出てしまうので、要注意です。(時々、ソファや椅子等の家具類はその空間にマッチしているのに、ダストボックスや傘立てなど細かい備品がマッチしていない施設も見かけたりします。)

設計者が選定しやすいように様々な状況を考慮し、さらに各備品の機能面を配慮しながら観客のみなさんがより気持ちよく過ごせる空間を作り出すために、私たちはこのような考え方で備品を選定しています。 備品の選定でお困りの際は是非、当社へご一報を!


(株式会社 シアターワークショップ 黒澤淑子)

(※ご意見ご感想はこちら