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No.041

日田市(大分)の文化施設が公募型コンペで設計者決定

大分県日田市では老朽化した現市民会館の立替をきっかけに総合文化施設を計画し、その設計者をこのほど決定しました。

■広く全国からアイデアを募集

総合文化施設は1,000席、300席の2つのホールと展示ギャラリー、さまざまな規模の練習室群、情報センターからなる芸術文化の創造活動を可能にするだけでなく、「市民のリビング」として多くの市民が楽しめる施設を目指して計画されています。
総合文化施設の基本構想・基本計画は市民で構成される検討委員会がその骨子を作成し、市長に提言、市がそれを受ける形でまとめあげました。

設計者選定では広く全国から広くアイデアを募りたいとのことから、公募型エスキスコンペ方式が採用されました。エスキスとは、設計における「下書き」や「スケッチ」というもので、エスキスコンペとは意訳すれば「設計のアイデアや主旨を表現できる程度の簡易な図面による設計競技」といったところです。
日田市ではこれまでの市民参加方式を設計段階においてもそれを継続するとの考えから、設計主旨を尊重しつつ設計段階での検討による変更を可能にする方式としてエスキスコンペを選択。コンペは2002年12月の中旬に登録申し込みが開始され、2月14日に作品提出、それをもとに選定された優秀者5者を対象に第2段階としてヒアリングを実施、最優秀者1者に絞るというもので、登録申し込み230件、そのうち93点の作品提出がありました。
審査員は総勢9名で建築や劇場・ホールの専門家4名、市議会議長や助役をはじめとする市内審査員5名という構成でした。

■市民と設計者の対話を核にした文化施設づくりを!

応募案の中から一次審査によって今村雅樹アーキテクツ案、香山壽夫建築研究所案、佐藤総合計画案、ナスカ一級建築士事務所案、横河設計工房案が優秀案として選ばれ、3月22日に実施されたヒアリング及び最終審査において香山壽夫建築研究所案が最優秀案に選ばれ、設計者が決定しました。また優秀案に準じて佳作案8案も決定されました。
ヒアリングの模様は一般にも公開され、この施設の基本構想・基本計画の策定に携わった検討委員会の市民メンバーを中心に、一般市民が見守る中実施されました。

今回のコンペは「公平性」、「透明性」、「公正性」という設計者選定の原則を極力守ろうという姿勢のもとに、コンペ参加者の公募、ヒアリングや審査経過の公開、市役所への優秀案の展示などが実施されました。
設計者に選定された香山壽夫建築研究所は全国でも著名な建築家で、劇場・ホールではこれまで彩の国さいたま芸術劇場、長久手町文化の家、可児市芸術創造センターなどの話題作を手がけており、特に可児市では市民参加の手法で設計を進めた経験を持っています。

今後、市民と設計者の対話を核にした文化施設づくりが発展的になされ、日田市民の多くが「自分達の文化施設」と思うことができる総合文化施設が誕生することに期待します。

このコンペの経過や結果の詳細については下記のアドレスへ
http://www.coara.or.jp/~hitacity/hitabunka/index.htm

(株式会社シアターワークショップ 戸田直人)

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No.042


劇場・ホールとユニバーサルデザイン

多くの人が利用する公共空間や製品の計画において、「ユニバーサルデザイン」という言葉に触れる機会が増えてきました。「より多くの人が使いやすいと感じること」を目指すこの考え方について、劇場・ホールの計画との関わりを考えてみたいと思います。

■ユニバーサルデザインとは

「ユニバーサルデザイン」は、ノースカロライナ州立大学デザイン学部・ユニバーサルデザインセンターの創設者、ロン・メイス氏によって1980年代に提唱されました。同センターでは「ユニバーサルデザイン」を次のように定義し、具体的なデザインを進めるにあたっての一般的な留意点を、「ユニバーサルデザインの7原則」としてまとめています。

 [定義]    できるだけ多くの人が利用可能であるように、製品、建物、環境をデザインすること

 7つの原則  

1. 誰にでも公平に利用できること
2. 使う上で自由度が高いこと
3. 使い方が簡単ですぐわかること
4. 必要な情報がすぐに理解できること
5. うっかりしたミスや危険につながらないデザインであること
6. 無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
7. アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること


■バリアフリーデザインとの違い

「バリアフリーデザイン」と似たイメージのある「ユニバーサルデザイン」、両者の発想の原点には少し違いがあります。「障壁を取り除くこと」を目的としているバリアフリーデザインに対し、ユニバーサルデザインは、「最初から障壁が取り除かれていること」を目標としています。身体的なハンディキャップを持っている人だけでなく、「重たい荷物で手がふさがっている人」、「高いところに手が届かない子供」など、誰もが何らかの不自由を感じる機会を持っているととらえています。


■ハードとソフトの組み合わせ

このように全ての人への配慮を心がけた時、「もの(ハード)」で解決できることには限界があります。そのため、きめ細やかな対応や心遣いといった「こと(ソフト)」の役割が大切です。
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訪れた際に使いやすいことから、訪れやすい施設をつくることまで。施設づくりを大きなデザインととらえると、劇場の計画においても、形に現れるハードウェアだけでなく、目に見えないソフトウェアが重要な役割を持ちます。その「どちらか」だけで努力するのではなく、両者を関連させて上手く補完し合うことが大切でしょう。

 ハードウェア ex. 施設計画、舞台特殊設備計画、サイン計画、備品計画
 ソフトウェア ex. 管理運営計画、事業計画、広報計画

■専門技術者にとってのユニバーサルデザイン

劇場には、舞台まわりを中心に、専門的な技術や知識を持った人の利用を前提とした機能があります。公共エリアとは考え方の異なる関係者エリア、ここで「専門技術者の使いやすさ」を考える場合にも、「より多くの人が使いやすいと感じること」を目指す考え方は、作業性や安全性を考える上で有効なポイントを持っています。
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例えば、「必要な情報がすぐに理解できる」ことはサインや操作機器の表示に有効であり、「うっかりしたミスや危険につながらない」ことは安全な作業環境づくりに求められます。舞台まわりでは、一時的に集められた技術者が共同して作業を行う機会が少なくないだけに、ミスを未然に防ぎ、共通した理解を得やすいデザインが必要です。

■フィードバックで考える「使いやすさ」

より多くの人に「使いやすい」・「訪れやすい」と感じてもらえるホールをつくるためには、実際に使っている人々の意見を参考にして、計画にフィードバックしていくことが大切です。計画段階から開館後に至るまで、上演スタッフ、劇場スタッフ、利用者や観客を始め様々な人々に話を伺いながら、劇場・ホールの「使いやすさ」について考えていきたいと思います。

(株式会社シアターワークショップ 水沼 健)

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