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No.053

シアターワークショップは創立20周年

■自分たちで劇場をつくりたい!

 シアターワークショップは本年11月に創立20周年を迎えました。
 弊社は、私が早稲田大学建築学科安東研究室に在籍中に開催していた「劇場セミナー」を母体に、現在は空間創造研究所の草加叔也さんとACT環境計画の林秀樹さんの3人で設立いたしました。当時は劇場コンサルタント業という業種はほとんど無きに等しく、大学の先生や劇場技術者の方々が本業の傍らで行っている程度で、劇団四季グループの劇場工学研究所が唯一、企業として活躍されている状況でした。建築関係の諸先輩からは劇場専門では仕事がない、会社を作るのは無謀だと言われました。それでも、芝居好きや音楽好きの劇場建築研究者が抱く当然の夢として、自分たちで劇場をつくりたいという強い思いから、シアターワークショップという看板を掲げました。

 当時、私は文化庁の非常勤調査員として第二国立劇場(今の新国立劇場)設立準備室におりました。その準備室に香川県のホール建設担当者がおいでになったときに、文化庁の方が私を劇場コンサルタントとして推薦して下さいました。
 今では現実味が薄く感じられるのですが、香川県の方は私たちに仕事を委託するから正式な会社を立ち上げなさいと仰ってくださいました。なんの実績もなく、私が31歳、草加さんも林さんも20代というチームに行政が仕事をくれる、それも会社を作れと言ってくれたというシンデレラストーリーのような話なのです。
 そこで私たちはひとり5万円ずつ出し合って、資本金15万円の有限会社を設立したのが、ちょうど20年前のことなのです。


■劇場建設のコンサルティングからソフト分野まで業務を拡大

 香川県県民ホールの仕事をスタートとして、その後すぐに銀座セゾン劇場の仕事にも参加させていただき、諸先輩の心配をよそに、時代の波にもうまく乗り、順調に仕事をいただいてまいりました。
 Bunkamuraの仕事を契機に林さんが退社し、イギリス留学のために草加さんが抜け、創立メンバーは私ひとりになりましたが、早稲田大学の後輩である戸田直人、松木優が加わり、浜松アクトシティ、横須賀芸術劇場、彩の国さいたま芸術劇場、びわ湖ホールという一連の大型舞台を持つ施設や浜松フォルテホールやランドマークホールなど舞台と客席を含めた空間可変型のイベントスペース、稽古場や情報センターなどの創造機能を併設する地域劇場など、様々なタイプの劇場・ホールに関わってきました。また、東京国際フォーラムではニューヨークに事務所を持つラファエル・ヴィニオリとのパートナーシップを経験し、国際的な設計の進め方を体験させていただきました。現在は戸田、松木にヴィニオリ事務所で東京国際フォーラムを手がけた今川敦子が加わり、3人のチーフ体制で仕事を進めております。
 90年代に入って、それまでの劇場建設に関するコンサルティングから、さらに業務範囲を拡げ、運営組織や上演作品のプロデュースといったソフトに関する分野も手がけるようになりました。そのために、スタッフとして東京芸術大学の出身者や私が教鞭をとっている慶應義塾大学や早稲田大学でアートマネジメントを学んだ卒業生たちが加わりました。
 浜松フォルテのオープニングイベントの企画制作が最初の公演プロデュースですが、その後、ホールサポーター制度を実現した黒部市国際文化センター・コラーレや開館に合わせて町民ミュージカルを創りあげた新田町町民会館エアリスホールなど、施設と運営が一体となった新しい時代の劇場・ホールの企画・設計・組織づくりを行っています。


■株式会社シアターサポートの設立

 最近の傾向としては、計画段階から市民が参加するケースが増えていますが、北上市のさくらホール、原町市のゆめはっと、茅野市新市民会館、都城市総合文化ホール、吉見町町民会館、逗子市文化・教育ゾーンなど弊社が参加するプロジェクトの多くは住民とのワークショップを繰り返しながら、行政と市民とのパートナーシップにより計画を進めております。

 ハードからソフトへ業務拡大を行ってきましたが、計画するだけでは物足らず、完成後の運営も行いたいという願望から、1997年に株式会社シアターサポートを設立しました。かつて劇場コンサルタントとして参加した新宿ルミネホール・アクトの担当者であった佐藤延行を役員に迎え、やはりホール施設のコンサルティングをした品川インターシティホールなどの運営を受託させていただいております。

 現在、シアターワークショップとシアターサポートの二社で総勢20名を超えるスタッフが、日夜理想に燃えながら、劇場づくりと運営に関わる様々な業務を行っております。微力ながらも20年間の百を超える実績は大きな財産であり、これらの経験や知識を生かして、さらにより良い劇場づくりと劇場運営をめざしてまいります。今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

(株式会社シアターワークショップ 代表 伊東正示)

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No.054


岩手県・北上市文化交流センター
「さくらホール」、遂にオープン!
過去のニュースでも度々ご紹介してきた北上市文化交流センター「さくらホール」が、去る平成15年11月27日からの一連の催しで開館を祝いました。27日の朝に大ホールで市主催の落成記念式典、式典後から29日までの3日間は市民の実行委員会による施設全体を使ったフェスティバル、29日の夜には(財)北上市文化創造(北上市から施設の管理を受託)主催の柿落とし公演が大ホールで開催されました。

ベルロード側の外観 シアターの内観
■3日間で延べ1万人を超える市民が大集合

写真
 落成記念式典では、祝舞として北上地域に昔から受け継がれてきた鬼剣舞(おにけんばい)の勇壮な群舞と三番叟(さんばそう)が執り行われ、祝辞等の他に緞帳やシンボルマークの紹介も行われ、最後に大人と子供の二つの地元の合唱団が市歌などを高らかに歌い上げました。

 実行委員会によるフェスティバルでは黒沢尻(くろさわじり)歌舞伎など北上ならではの伝統芸能を含め様々なジャンルの24の団体が、アートファクトリーの諸室での練習の後、次々と中ホールのステージに登場。
 また、館内のいたる所が生け花などで飾られ、和室ではお茶がふるまわれ、陶芸や絵画や旧市民会館の貴重な記録資料(20年以上続いている市民劇場の台本やチラシほか)なども展示されました。
 そして、毎週金曜日の夕刻に『FM いわて』のサテライトスタジオになる「スタジオ・サクラート(STUDIO SAKURART)」で財団事務局のスタッフ自身がDJとなってゲストとのトークも交えたON AIRがあり、スタジオ前には東京・渋谷のスペイン坂スタジオさながらの人垣ができました。
 さらには、マーチング全国大会で優秀賞に輝いて帰郷したばかりの専修大学北上高校吹奏楽部のファンファーレ演奏で始まる開館セレモニーで来館者にシャンパン・サービスを行うなど、とにかく盛り沢山の内容で3日間で延べ1万人を超える市民が集いました。


■オリジナル・プロデュース公演で柿落とし

 柿落とし公演は、「飛翔・ONI」と題した、財団によるオリジナル・プロデュース公演(2回公演)。鬼剣舞の「鬼」をモチーフにした過去・現在・未来を表す鬼剣舞とジャズダンスのコラボレーション、ヴァイオリン・尺八・マリンバ・ピアノのゲスト奏者やオーケストラピットに入った市民オーケストラによるオリジナル曲の演奏、市民憲章の朗唱、戦前から近年までの北上の街並みの写真などを編集した映像、舞台機構を駆使した転換、高度な照明演出などが複雑に構成され連綿と続いていく幻想的なステージは、上演中に度々湧き起こる盛大な拍手も相まって、他では体験できない独特な熱気に包まれました。


 こうして多くの市民に歓迎されてスタートした「さくらホール」。エントランスロビーに設置されているクリスマスツリーの横にポツリと立って館内の広い空間を見回しながら、「この町も、豊かになったんだねぇ〜」と感慨深げに独り言を言っているお婆さんと、フェスティバルが終わって一般利用が始まった初日の夜に早速「スタジオ」でバンドの練習をしてみて、ガラス壁越しに外から見られることに戸惑っている男の子達を見て、それらが対照的に思え、北上の街に流れるこれまでの時間・これからの時間を感じた気がしました。
 管理する上では大変な施設だとも思いますが、街に暮らすうえでの思いを重ねる施設として、きっと市民に親しまれ愛される、そんな予感がします。


(北上市民憲章)
あの高嶺 鬼すむ誇り その瀬音 久遠の賛歌 この大地 燃えたついのち ここは北上
柿落とし公演「飛翔・ONI」 統一デザイン 自主事業ラインナップ

◇過去のニュース
Vol. 008  鬼剣舞の里" 岩手県北上市に、新たな文化の胎動・・・平成15年秋に「(仮称)文化交流センター」がオープン!
Vol. 027 岩手県北上市「(仮称)文化交流センター」愛称募集中!!
Vol. 035 岩手県北上市「(仮称)文化交流センター」の愛称は“さくらホール”に決定!
Vol. 044 北上市文化交流センター・さくらホールのオープニングイベント
Vol. 045 北上市民会館39年の歴史に幕、さくらホールへ継承

建設関連 北上市
管理運営関連 (財)北上市文化創造・さくらホール

(株式会社シアターワークショップ 和田知彦)

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