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No.060

武蔵境新公共施設設計プロポーザルを通じて
〜 設計者選定の最前線に挑む 〜

私たちは劇場コンサルティングの中で、幾つかの劇場・ホールの設計者選定を手伝って参りました。今回は一昨年前の武蔵野市吉祥寺シアターの設計者選定(No.031)の関係から、同市の武蔵境新公共施設の設計者選定もお手伝いさせていただきました。


■武蔵境新公共施設とは

武蔵境新公共施設は、図書館を中心とした複合施設で、「知的創造」の拠点を目指した未来型の施設プロジェクトです。そしてJR中央線武蔵境駅前の好立地や、規模の大きさ、基本計画段階から関われる点など、設計者にとって魅力的な物件ともいえます。また市長をはじめ武蔵野市のこの新公共施設にかける情熱が強く感じられました。


■本設計者選定の特徴

武蔵野市では、これまでも施設建設における設計者の重要性に着目しており、本施設では、次の様な設計者が求められました。

  • 大規模施設を設計できる経験と技術力のある建築家。
  • 広い見地をもって様々意見を取りまとめる調整力のある建築家。

このような建築家を選ぶため、本設計者選定は以下の方針で運営されました。

  • 幅広く設計者を募るために、公募型としました。
  • 設計案ではなく建築家を選ぶことを重視し、プロポーザル方式としました。
  • 計画参加への責任を明確にするため、会社ではなく個人の選考を主眼としました。
  • 審査の専門性と公平性の重視し、審査員は専門家のみで構成しました。
  • 多数の応募者を想定し、選考を潤滑に行うために第3次選考まで設定しました。
  • 応募者への負担を軽減することから、提案書を2段階に分けました。
  • 審査の公平性と透明性の見地から、可能な限り審査過程を一般公開しました。
  • 最終選考では候補者のプレゼンテーションを含めた、公開ヒアリングを行いました。

■選考の経緯

□第1次選考(平成15年11月29日)
411者の応募があり、202社が第1次提案書(A3判)を提出しました。第1次選考は市役所会議室にて非公開で行われました。それは第2次提案書(A1判)が第1次選考の後に提出されるため、審査の影響が受けないよう配慮した結果でした。 壁一面に掲示された提案書を審査員が確認し、最終的に11名が第2次選考に進みました。

□第2次選考(平成16年1月25日)
第2次選考は、武蔵野スイング・レインボーサロンにて一般公開で行われました。11者から、最終選考へ進む5者を選考する途中経過の内容にもかかわらず、200席程の傍聴席は満席となり、会場後方の展示スペースにも人で溢れていました。11案の第2次提案書(A1判)を主体的に審査員が講評し、5名が最終選考に進みました。

□最終(第3次)選考(平成16年2月1日)
最終選考は、武蔵野公会堂にて一般公開で行われました。劇場形式の会場となり、提案者のプレゼンテーションや審査員との質疑応答等は、全て舞台の上で行われました。第2次選考に続き、最終選考も350席の客席は満席になりました。審査員それぞれの立場から意見交換がなされ、一回の投票で川原田康子氏が最優秀に選ばれました。審査員の票は分かれ僅差での決定でした。


■まとめ

本設計者選定は都内の好条件の物件で、参加規模も大きいもので、運営をお手伝いするにあたり、審査の公平性や透明性にはできるだけ配慮しました。公会堂で大々的に行われた公開ヒアリングは公平性とともに話題性も充分でした。しかし同時に、何百人の前の舞台で、スポットライトを浴びながら協議する審査員の方々は、とてもご苦労されたと思います。公平性や透明性を確保するなかで、審査員が平静で冷静に審査が行える環境を整えることも、今後は課題になりそうです。

審査員(50音順)
 植松 貞夫(筑波大学図書館情報専門学群長)
 工藤 和美(東洋大学工学部建築学科教授)
○倉田 直道(工学院大学建築都市デザイン科教授)
 坂本 一成(東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻教授)
 清水 忠男(千葉大学工学部デザイン工学科教授)
◎中川  武(早稲田大学理工学部建築学科教授)
(◎委員長、○副委員長)

最終選考候補者(50音順)
○伊東 豊雄((株)伊東豊雄建築設計事務所)
◎川原田 康子(カワハラダヤスコ+KwhDアーキテクツ)
 佐藤 光彦(佐藤光彦建築設計事務所)
 福田 卓司((株)日本設計)
 古谷 誠章((有)ナスカ)
(◎最優秀、○優秀)

武蔵野市企画調整課、武蔵境新公共施設設計プロポーザルのページ


(株式会社シアターワークショップ 小林徹也)

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