ホール管理において、大切なことは何か?
どのような意識を持って仕事に臨むべきか?
これは、私が入社当時から常に抱えている疑問である。
私の勤めるホールは、いわゆる多目的ホールであり、セミナー、展示会、販売会、記者発表会、ファッションショーなど幅広い分野で多種多様な催事が行われる。
私が、現在のホール管理の仕事に就き、早くも3年が経とうとしている。この3年間に、多くの催事を経験し、多くのことを学んできたことにより、時にはその疑問が解けたような気がしたこともあったが、気付くとまた心の内に滲み出てくるのである。
やはり、その疑問を胸に抱えながら、去る3月中旬、私は4泊6日の海外研修に出かけた。幾つかの劇場を訪れ、バックステージツアーに参加したり、観劇などをし、また、私とは異なる形でホールに携わる方々と話をする機会に恵まれた。
そこで、私は先に述べた疑問の答えに繋がる大きなヒントを得たように思う。このヒントについて、今回、大きく2つの「視点」をキーワードに述べようと思う。

これはつまり、ご来場者の視点ということである。ホールスタッフの直接的なお客様というのは、ほとんどが制作会社の方々であり、ホール管理という業務がサービス業である以上、お客様の視点を考えることは基本であり、私たちは常にその事を意識して業務にあたっている。そこで陥りやすいのが、制作の視点を意識したことによって満足してしまうことである。もちろん、その視点も大切だ。しかし、私たちに必要なのは、制作の立場やホールスタッフの立場から考えるご来場者の視点だけでなく、ホールで行われる催事に来て、見て、感じる、来場者としての純粋な視点を意識することではないだろうか。なぜなら、私たちにとって、ホールは日常の一部であるが、ご来場者にとっては非日常であるのだから。
ホールスタッフや制作の立場では当たり前のことが、来場者には当たり前でないことが往々にしてある。
そのことを、「海外での観劇」という、私にとって非日常を体験したことによって、来場者の純粋な視点の重要性を改めて感じた。「ホールスタッフとして」でなく、「来場者として」客観的にホールをみることを常に心がけることによって、本当に求められるホールにするための、大きな手掛かりになるのではないだろうか。

「ホール」 というひとつの建物には、多くの人々が携わっており、その全てのポジションからの視点があり、ホールスタッフはその全ての視点に注意をむけるべきである。
私は、今までホールでの催事に関わる運営スタッフや、技術スタッフといろいろな事を話し、ホールに求められる様々な意見を聞くことができた。それらは、現場の視点であり、ホールに求められる新鮮で貴重な意見となる。
さらに、今回の研修では、現在の日本におけるホールの存在、つまり建築物としてだけでなく、文化の一部、経済の一部としてのホールというものとそれを取り巻く環境について関わる人達の話を聞くことによって、私と同じ様にホールが日常でありながら、私とは異なる今まで知らなかった角度からの視点があることに気付き、その視点に触れることによって、ホールが担う社会的な役割を認識し、考えることの重要性を感じた。
世の中は常に変化し続け、人々が求めるものも同じく変化し続けている。その中で常に人々の「視点」を意識し、その変化に敏感に、そして柔軟に対応できる態勢でいることが、よりよいホールに繋がるのでないだろうか。そして、そのためには、常に多角的な視点を忘れず、豊かな感性を持ち、柔軟な思考をしなければならない。
そのためには、ホールにおける古い仕来り(それはホールの中にも外にも存在し、時にはしがらみとなっている)を尊重しながらも、新しい感性や方法を取り入れることも大切なのではないだろうか。
以上、今回の研修で得たヒントは、非常に感覚的なものであるが、それを基に、最初に述べた疑問の答えを導き出したいと思う。しかし、おそらくその答えも、また世の中と共に変化し続けるのであろう。それにともなって、私たちは、常にふさわしい答えを求め続けていかなければならないだろう。
(株式会社シアターサポート 井出奈かこ)
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