■早稲田大学での取組み
本年度より早稲田大学大学院文学研究科には芸術学(演劇映像)専攻の中に芸術環境学が加えられ、芸術文化環境研究を志す学生に門戸が開かれました。そもそも、演劇学と実際の創造や上演の場をつなげる研究への取組みは、1999年に第二文学部において「劇場人」の養成を行うための講座を設置したところからスタートしました。私はその準備段階から協力し、現在は客員教授を務めています。また、2002年度より演劇博物館演劇研究センターにおいて、21世紀COEプログラム「演劇の総合的研究と演劇学の確立」という研究が進められておりますが、その研究の4本柱のひとつが「芸術文化環境研究」です。芸術文化環境研究では「従来ほとんど考察の対象とならなかった演劇と社会との関わりを基本テーマとして、劇場およびそれを取り巻く環境の、理想的なあり方とその運営の基本原則を考える」研究を行っています。現在は都市計画がご専門の卯月盛夫早稲田大学芸術学校教授、宮崎刀史紀演劇研究センター客員講師と私の3名を中心に、それぞれの研究を進めると共に、博士課程の特別研究生との勉強会や公開研究会などを開催しています。
さらに今年度からは大学院生と卒論生をコアスタッフとして、誰でも参加できるオープンゼミをスタートさせました。オープンゼミでは私が担当する講義や演劇研究センターでの活動とリンクさせながら、学内での座学による学習ではなく、演劇の現場などでの実学を行う予定です。第二文学部での「劇場人」養成をめざして入学する学生も出てきており、当初の予定よりもはるかに大きな反響の中で、意欲的な若者たちとの新たな活動が始まっています。
■劇場での受け入れ
劇場で働く専門家の方々からは大学でのアートマネジメント教育に対する否定的なご意見を伺います。現場での即戦力にならない。大学で得た知識は現場では使えない。頭でっかちで身体が動かない。などなど、多くの問題点が指摘されています。現場のプロの方々からの批判はよくわかります。そして、これらのご指摘の点はなんとか改善しなければなりません。大学のアートマネジメント教育もまだまだスタートしたばかりですし、充分な教育システムが確立されていないのが現状です。
早稲田大学では2000年より「劇場・ホール実習」という講座を設置し、劇場でのインターンシップ体験をさせています。これまでにも国立劇場、新国立劇場、世田谷パブリックシアターなど多くの劇場や制作会社などで貴重な体験をさせていただいております。使えない学生たちを預かっていただいて、ご迷惑ばかりお掛けして心苦しいのですが、ワークショップでは学生が参加したことにより、受講者と講師の関係がよりスムーズになった。学生の意見により新しい方向性が見つかった、などというような好意的なご意見もいただいております。「若者、馬鹿者、よそ者」という言葉がありますが、使いようによってはうまく活かせる方法もあるように思えてきます。劇場の在り方自体が変わってきている。また、変わらなければならない時代がやってきているという状況を考えれば、大学での「劇場人」養成にも道はあるのではないでしょうか。
■劇場への就職
「劇場・ホール実習」の多くの受講生はなんらかのかたちで舞台芸術に関わる仕事に携わることを目指しており、できることならば劇場に就職したいと望んでいます。しかし、公立文化施設の求人では経験者を求める場合が多く、劇場で働きたいという学生には厳しい状況となっています。そうした少ないチャンスの中でも、卒業生の中には劇場や制作会社などに就職する者もでてきました。また、弊社で職員採用のお手伝いをさせていただいた北上市文化交流センターさくらホールと茅野市民館では、昭和音楽大学音楽運営学科の卒業生が高い倍率の試験に合格し、それぞれ活躍をしています。
劇場スタッフはその都市で最も舞台芸術が好きで、舞台芸術や劇場や文化政策についても最も知識が豊富な人であってほしいと思います。ですから、弊社がスタッフ採用試験をお手伝いさせていただく場合には、専門科目の試験をやらせていただいています。劇場の職員になりたいなら、文化芸術振興基本法や指定管理者制度といった文化政策分野の事も、現在活躍しているアーティストの事も、綱元や奈落といった劇場専門用語も知っていてほしいと思います。大学でアートマネジメントを学んだ人たちは専門分野の試験の点数は高い傾向が出ています。もちろん、それだけでは不十分であり、もっとずっと大切な事があるわけで、大学教育では知識や教養だけではなく、その最も大切なものをいかに伝える事ができるかが鍵になるだろうと思います。
私は劇場を創る実践家で、他の教育者とは違う立脚点にありますから、その特徴を生かした教育を続けていきたいと思いますし、卒業生たちが現場で活躍できることを心より願っています。
次の時代を担う人材を育てるために、今後とも現場の専門家の皆様からの暖かいご支援をお願いいたします。
(株式会社シアターワークショップ代表 伊東正示)
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平成17年5月21日土曜日、晴天の下吉祥寺シアターの開館記念式典が行われました。
開式間際には多くの人が集まり、シアター周辺は華やかな雰囲気に包まれました。
式典では、土屋正忠武蔵野市長によるシアター設置の経緯や、設計者の佐藤尚巳氏による施設の説明、箕島裕二支配人による施設運営や事業に関する説明等が行われました。
その他、議員や近隣の代表の方々等、様々な方のシアターに対する期待の大きさが伝わる式典となりました。
■舞台披きでコンテンポラリーダンス!
式典に続いて、舞台披きとして行われた祝舞台では少し変わった演出がなされました。
吉祥寺シアターは演劇とダンスに最も適した劇場であること、またこの劇場で若手アーティストが育ってほしいとの願いから、若いダンサーによるダンス作品が上演されました。
吉祥寺シアターの舞台に最初に立ったのは、ここ数年著名な振付コンクールで常に最終選考にノミネートされるなどその活躍が目覚しい女性2人組のダンスユニット「ほうほう堂」。上演されたのは吉祥寺シアターの空間に合わせて新しく創作されたオリジナル作品「バブルミル」です。
式典の列席者には、これが初めての「コンテンポラリーダンス」体験となった方もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。
後舞台まで使用した大きな舞台設定や何本ものロープを駆使して観客の頭上!までダンスを展開するなど、吉祥寺シアターの空間を大胆に使った演出に少なからず戸惑いを覚えた方もあったようですが、通例行事としての舞台披きにとどまらず吉祥寺シアターをより深く体験していただこうという吉祥寺シアターと「ほうほう堂」の意欲が感じられました。
吉祥寺シアターには、公立の劇場としてより多くの市民に門戸を開きながら様々な舞台芸術を市民に紹介し、同時に若いアーティストと共に新しい舞台芸術の発掘と発展の一翼を担い、更に吉祥寺東部地区のまちの賑わいを創る大きな役割が期待されています。
金屏風を背にした式典の直後に、ブラックボックスの真っ黒な空間での新しいダンス。
吉祥寺シアターらしさを皆に伝える意欲的な演出でスタートした吉祥寺シアターのこれからの活動に是非ご注目ください。
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(株式会社シアターワークショップ 平山瑞絵)
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