以前Vol.77でお知らせしました、劇場・ホールで初のPFIを導入した杉並公会堂が6月1日、ついにオープンしました。
5月14日に開館記念式典が行われ、6月3日の開館記念コンサートを経て、いよいよ本格始動です。
杉並公会堂は、(株)大林組と(株)京王設備サービスが出資して「PFI杉並公会堂(株)」という会社をつくり、建設(Build)、運営(Operate)を行った後に区へ移管(Transfer)する、「BOT方式」をとっています。
これから平成48年に移管するまでの30年間の間、柔軟かつ幅広いサービスを提供するホールとして、劇場・ホールの新しい形を提示してくれることを期待しています。
■音を愉しむ大ホール
まず、1,190席の大ホールをご紹介します。
私の勝手な表現ではありますが、このホールのポイントは「あたたかい音」です。
舞台上で奏でられた音が「響く」というよりも、すっと耳元に「伝わる」感覚を愉しむことができます。人が演奏する音のあたたかさを体感できるこの感覚、ぜひお試し下さい。
また、クラシックのコンサートを主目的としながら、幕を吊り、天井裏のバトンを下ろすことでプロセニアム形式に転換できるなど、多目的利用も視野に入れた機構・設備を設けたことにより、クラシックのコンサートにおいても電気音響を取り入れたり、照明による演出を加えたりと、さまざまな試みをすることが可能です。
そして、杉並区と提携している日本フィルハーモニー交響楽団がこのホールを拠点として活動します。拠点を得て、ますます磨きがかかった演奏がこの杉並公会堂でたくさん聴けることが大変楽しみです。
■とにかく使える小ホール
「多目的にご利用いただけます」という言葉は、どこのホールでも使われるものですが、この小ホールは本当に幅広く使えます。
客席数194席、または平土間時には全体の広さが212m2という小規模なホールですが、ちょうどいい緊密感が、パフォーミングアーツにも音楽にも適した空間を作りだします。
ほかにも平土間形式を活用しての展示やパーティーなども可能となっており、利用者の方々が、我々の予想を超えた新しい使い方をしてくれるのではないかと思います。
■協働によるオープニング
杉並公会堂のオープニング記念事業の計画・実施にあたっては、杉並区、杉並区文化協会、日本フィルハーモニー交響楽団、PFI杉並公会堂の4者により、「杉並公会堂オープニング記念事業実行委員会」という名前の実行委員会体制が組まれています。
区内の施設の運営主体が何であれ、文化政策は区が行うべきものです。一方で文化政策の実現する場として杉並公会堂は重要な位置を占めます。杉並の文化に関わる4者が協働して事業を行うことは、大変重要なことであると考えます。
今年12月までのオープニング期間に多くの公演が予定されています。ぜひお運びください。
詳しい公演内容はこちら
劇場・ホールの初のPFIである上に、指定管理者制度の施行前に事業化されたために「公の施設に準ずる施設を民間企業が運営する」という特殊な運営形態となった杉並公会堂。これまでもさまざまな課題と向き合ってきましたが、開館後はより一層、予想もしない新しい課題に直面することがあると思います。平成48年に移管するころには、私も現役を引退しているかもしれませんが、杉並公会堂がこれからどうなっていくか、見守っていきたいと思います。
【杉並公会堂 施設概要】
- 大ホール 客席数 :コンサート形式時1,190席、幕形式時1,063席
- (前舞台使用時はそれぞれ60席減)
- 残響時間:1.9〜1.1秒(満席時)
- 小ホール 客席数 :可動席194席
- その他の施設 グランサロン(245m2)
- スタジオA〜E(15m2〜58m2)
- カフェ、ショップなど
- 問い合わせ 03-3220-0401
- ホームページ http://www.suginamikoukaidou.com
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※弊社では、入札時から開館までの設計・施行監理・運営のコンサルティング業務、およびプレイベント実施業務を行いました。
(株式会社シアターワークショップ 山下 貴子)
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