Iさん |
「Sくん。ちょっとホールの様子を見てきてくれないか?」
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Sくん |
「(パソコンで何かを打ちながら、監視カメラのモニターしか見ずに)ん〜、特に問題ありませんね」
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Iさん |
「………S君はほんとうにパソコンが好きだねえ。初めてパソコンのマウスを動かしたのはいつだった?」
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Sくん |
「小学校のときすかねぇ。学校に一人1台ずつありましたから」
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Iさん |
「ふーん。僕なんか初めてのマシンは自分で買ったよ。その頃¥200,000もしたんだ。当然月賦だけどね」
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Sくん |
「すごいっすねぇ。どんなのを買ったんですか?」
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Iさん |
「マッキントッシュのパフォーマ575という機種だったよ。メモリー8メガバイト、ハードディスクは250メガバイトだったなあ」 |
Sくん |
「げげっ、容量少な。今じゃ何にもできませんね。そんなんじゃすぐに固まっちまいますよ」
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Iさん |
「………なにしろ12年前、村山内閣の首相官邸にホームページが開設された頃のことだからな」
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Sくん |
「誰ッスかそれ。何年前の話ですか?」
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Iさん |
「だから12年前だって言ってるだろ。」
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Sくん |
「へえ〜、僕が小6の頃ですね。今のパソコンはそのパフォーマなんとかに比べて容量が200〜300倍、処理能力は100倍位になっていますよね。」
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Iさん |
「頭の中身も100倍くらい成長すればいいんだろうけどな(笑)」
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Sくん |
「(皮肉に全然気づかない)無理ッスよ。ところで10年一昔って言うけど、やっぱ仕事のやり方も当時とはずいぶん変わったんでしょうね。」
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Iさん |
「社会全般に言えるんだろうけど、メールでのデータのやりとりが格段に増えたよね。FAXでは読みとれない細かい図面やイベントマニュアルを瞬時に何十ページも送ってもらったり、まとめてQ&Aのやりとりをしたり、とても便利になったよ。」
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Sくん |
「昔はどうしてたんですか?」
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Iさん |
「図面1枚でも、電車に乗って届けたりしていたんだよ。」
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Sくん |
「なんでまた?のんびりしてたんすね」
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Iさん |
「だから、メールがなかったんだって。」
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Sくん |
「あっ、そうか。不便だったでしょうね。考えらんないなあ。」
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Iさん |
「でもなあ、インターネットやメールがどんなに発達しても、我々の仕事って言うのはあまり変わらない部分があると思わないかい?」
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Sくん |
「そうっすねえ、うちのホールの場合スケジュール予約は電話だけだし、下見、打合せ、開錠・施錠、設営・撤去、空調の設定、ゴミの処理、会計関係の書類作成、届出書類の提出なんて全部手作業ですからね。」
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Iさん |
「予約の場合なんかは、最近FAXだけで空き状況を問い合わせしてくるお客さんもいらっしゃるけど、どんな催事なのか、どんな方が参加されるのか、直接声を聞いてみないと形が見えないね。」
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Sくん |
「全部、オンライン化できないっすかねえ。」
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Iさん |
「そして、最近の特徴としては、開催間際、それも1ヶ月を切ってからの打合せが増えてきたね。インターネットの普及が一因だと思うんだけど、イベントの企画から開催までの期間が短くなったんだ。」
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Sくん |
「こんなに技術が進歩しているのに、もっとインターネットのうまい使い方ないんすかね。」
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Sくん |
「君も自分で考えてみたらどうだ。下見の時間もない場合なんか、動画や写真をホームページにアップしてると参考になるだろうね。でもやっぱり実際に現場を見ないと、細かいところがわからないよね。」
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Sくん |
「今月みたいにこんなにスケジュールが入っていると、下見の時間も取れないっすからね。」
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Iさん |
「………そういえば、この前頼んでいた古い機材のデータは見つけてくれた?」
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Sくん |
「いやあ、それが調べたんすけどねぇ、ないんすよ。」
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Iさん |
「ふーん。どういう風に調べたの?」
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Sくん |
「ネットで検索しまくりました。もうずーっと。」
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Iさん |
「それだけ?」
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Sくん |
「それだけです。これだけ検索してないって事は、もうないですね。製造中止でしょう。きっと。」
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Iさん |
「メーカーさんには確かめてみた?」
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Sくん |
「いいえ。メール送ったんすけど、返事がないんすよ。」
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Iさん |
「………なんだって(-"-;)ムム………。 」
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事務所固まる。
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Sくん |
「(モニターを見て)あっ、バラシが始まりますね。ちょっとホール内に行ってきま〜す。」
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Iさん |
「………」
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