4月4日から15日まで、世田谷文化生活情報センター生活工房で日本舞台美術家協会(JATDT)主催の「舞台美術市場」(舞台美術展)が行われました。「舞台美術市場」では、舞台装置模型や衣裳、デザイン画、映像等の展示の他、一般公募の作品の展示もありました。また、舞台美術に関するテーマで「舞台美術屋台村」(シンポジウムとワークショップ)が、4月6日から15日まで同時開催されました。今回、この「舞台美術屋台村」の初日(6日)に参加しました。
初日のテーマは「現在(いま)の舞台美術について考える」です。伊藤熹朔賞※受賞者の大沢佐智子氏(2004年受賞)、池田ともゆき氏(2005年受賞)、伊藤雅子氏(2005年新人賞)が最近の各々の代表作品をスライドで紹介し、その後、舞台美術がどのようなプロセスで出来上がるのか、舞台空間のイメージ創りをどのように行うのか等についての質疑が、一問一答形式で行われました。今回はその一問一答の中から、幾つか取り上げてみます。
Q: |
台本を読んで打合せまでに何を行うか。
|
A: |
- 台本を読む場所や時間を選び作品に入り込む。(大沢氏)
- 部屋の掃除をし、台本を読む場所の環境作り。(伊藤氏、池田氏)
|
Q: |
公演を行う劇場の図面を目にした後に行うことは何か。
|
A: |
- 実際にその劇場に出向いて空間を確かめる。(大沢氏、伊藤氏、池田氏)
- 劇場の図面をトレースする等、スケールの確認をする作業を行う。
その作業によって空間で分からない部分が見えてくる。(池田氏)
- 舞台空間がわかる100分の1の模型を作成する。(伊藤氏)
|
Q: |
作品をイメージする為にどのように頭の中を整理するか。
|
A: |
- プランを5つ作成する。(大沢氏)
- キーワードを組み合わせてみる。(池田氏)
- スケッチをするのではなく紙工作をしながらイメージをつくる。(伊藤氏)
|
Q: |
イメージ創りの後、それを視覚化するために行うことは何か。
|
A: |
- 模型を作るのではなく、スケッチを確認する。(池田氏)
- 100分の1の空間がわかる程度の模型をつくる(あまり作り込まない)(伊藤氏)
|
Q: |
舞台照明家とのコミュニケーションはどのように行うのか。
|
A: |
- 実際に使用する材料の素材や色彩、雰囲気等を直接照明家に伝える。しかし、伝えたいことが上手く伝わらないこともある。(大沢氏、伊藤氏、池田氏)
- 海外事例(スカラ座)を挙げると、照明にデザインという概念がなく、演出家が技術者を使用してデザインをしている。(実行委員長−堀尾氏)
|
Q: |
工場での製作から立て込みまでで注意している点は何か。
|
A: |
- 最初はディテールより全体のバランスを確認する。問題がなければ詳細を確認する。(大沢氏)
- 仕上げの色には神経を使う。色については、工場で作成している段階から確認を行う。(大沢氏)
- 舞台装置と舞台床面の境目や隙間、床面との色の調整(舞台床面と装置を同色とするか等)、舞台装置の立ち上がりについて注意を払う。(池田氏)
- 如何に模型と同じ仕上がりとなったかという点。海外では模型が図面の変わりとなるため、模型は25分の1等大きい縮尺となっている。(伊藤氏)
|
Q: |
舞台初日にすることは何か。
|
A: |
- 一観客として客席で舞台を観る。(大沢氏)
- 自分の作品について未練はない。(池田氏)
- 演出部に作品を渡す。(伊藤氏)
|
Q: |
作品の記録などはどのように行っているか。
|
A: |
- 作品のためのメモから資料まで一式を残す。(大沢氏)
- 図面を残す。(池田氏)
- ゲネプロの際に写真を記録として撮っている。(伊藤氏)
|
その他、ゲネプロ後の美術道具の修正は、トラブルや事故の原因となるため行ってはならない等の注意点や、美術道具を道具バトンに吊り込めず、チェーンモータでスノコから吊ったという話も話題に挙がりました。
舞台美術家にとって舞台空間をデザインする過程で、
- 常に世の中にアンテナを張り、様々なことに敏感になる→新しいアイデアやインスピレーションが生まれるきっかけとなる
- 空間を如何に捉えるか→スケール感覚
が如何に大切かということを感じました。
今回、舞台美術家の裏舞台が少しではありますが、垣間見れたような気がします。普段、舞台を使用している現場サイドの声等が、直接我々劇場コンサルタントの耳に届き難いのが現状ですが、このようなシンポジウムに参加したり、美術家や技術者、運営者の話を聞く機会を作ったり、勉強会を開くことで現場の状況を把握するように心掛けております。
(※1967年舞台美術家伊藤熹朔氏没後に、同氏の友人達が結成した「熹朔の会」によって設立された。1974年からはJATDTが主催。毎年、舞台装置や衣裳、メーキャップなど舞台美術で顕著な功績のあった人物に贈られる、日本で唯一の舞台美術の賞。)
■参考資料
- 日本舞台美術家協会HP
- シアターガイド
(株式会社シアターワークショップ 林 恵子)
(※ご意見ご感想はこちら)
催事を実施することになったとき、何を基準に会場を選びますか?
希望する催事内容を行うことができる設備があるか、想定している人数が収容できるか、使用料などいろいろな選択肢がありますが、そのひとつに"場所"があります。
アクセスの良さという点では駅から近いことはもちろんですが、最寄駅が来場者の利用しやすい路線かということも重要です。特定の人々を対象とする場合は、電車だけでなくバスや車といった交通手段からの検討も必要です。
また、広く一般を来場ターゲットにする場合、複数の路線が乗り入れるターミナル駅であれば集客がしやすくなります。
催事内容や来場ターゲットに合わせた立地条件からも選択することができます。
ビジネス関連の講演会や就職説明会などは利用者もアクセスしやすいオフィス街、ファッションショーなど流行を意識した内容であれば六本木や表参道などオシャレなイメージの街、といった具合です。
弊社が管理運営を行っている品川インターシティホールはというと、JR品川駅港南口から徒歩7分のところにあります。JR品川駅には山手線をはじめ東海道線、京浜東北線など東京及び近郊の人々を運ぶ路線のほか、東海道新幹線が乗り入れています。それにより東海・関西地区からも来場しやすい環境にあります。京浜急行を利用すると羽田空港から直接来ることができ、多方面からの集客が期待できます。
また港南口には品川インターシティを含め大きなオフィスビル群があり、ビジネス街としても認知されています。これらの条件からも、全国に支社を持つ企業の利用やビジネスマンを対象とした利用が大半を占めています。
このように"場所"が会場選びにとって大きなポイントになり、催事の成功をも左右することがあります。
HALL IN ONEでは【地域】という条件で検索できます。こちらもぜひ利用してみてくださいね。
劇場・ホール検索システム HALL IN ONE
http://www.hall-in-one.com/index.html
(株式会社シアターサポート 山本紀利子)
(※ご意見ご感想はこちら)