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No.137

PQ & SHOW TECH
―いま世界の最前線はどうなっているのか―

PQ会場インダストリアル・パレス

 6月14日から10日間、PQ(プラハ・カドリエンナーレ)とベルリンで開催されたSHOW TECHを視察するために、プラハとベルリンへ行ってきた。
 PQは4年ごとにプラハで開かれる舞台美術と劇場建築に関する国際的な展示会であり、今回が第11回目になる。会場はインダストリアル・パレスという、かつての万博会場として建設された施設であり、アールヌーボー様式の建物自体が芸術品といった施設だが、その会場に世界中からステージセットの模型や写真、衣裳のデザイン画や本物の衣裳などが展示され、舞台芸術関係者でなくとも、夢の世界に入り込んだかのような驚きや楽しさを味わうことができる。
 展示は、入口正面のセントラルホールに今回の展示の中心となる「バベルの塔」が建てられ、その周りには「鳥」をテーマにした企画展示とOISTAT建築委員会が主催した劇場建築コンペの応募作品の展示、さらに奥のスペースにはワークショップスペースやイベントスペースが設置され、様々な行事が開催されていた。
 セントラルホールの上階では建築・技術セクションの展示が行われ、24カ国からの作品が並べられていた。米国は最新事例を数例紹介していたが、カタログには候補作品すべてが示されており、貴重な資料となっている。ブラジルはオスカー・ニーマイヤーが設計した劇場のリニューアルが展示されており、妙になつかしさを感じさせられた。
 建物の左右のウィングは各国ごとの展示ブースが配置されており、今回は日本も含めて49のブースが作られていた。PQでは審査委員会によって、最優秀の展示ブースに対して「ゴールデン・トリガー」賞が授与されるため、各国とも展示されている舞台作品だけではなく、舞台美術家や劇場建築家たちがアイデアを出し合って、展示ブースそのもののアイデアやデザインを競っている。お国柄とでもいうのだろうか、国による違いが顕著であり、PQはまさに世界の舞台芸術の状況を一望できる貴重な体験の場となっている。
 日本は回転寿司のカウンターをモチーフとしたデザインで、カウンターに並んだ皿の上に舞台セットの模型を並べていた。海外でも大都市には回転寿司屋があり、外国人にもなじみのある空間となっており、寿司屋が客をもてなすように作品を提供するというコンセプトであったのだろう。どうせなら作品を回転させれば良かったのにという声もあったが、そのためには誰かがずっと自転車をこぎ続けなければならなくなるから止めにしたというのが、代表者である舞台美術家、島川とおる氏の弁である。
 18日に賞の発表があり、ロシアが「ゴールデン・トリガー」を受賞したという情報を得た。ロシアのブースは床に水を張り、用意されたオーバーシューズを履かないと展示が見られない仕組みとなっていた。その手間をかける分だけ、いざ見ようと思ったときにはしっかり見ることになるという見せ方のアイデアが評価されたに違いない。

日本の展示ブース ロシアの展示ブース

 今回から学生の展示にさらに力が入れられており、国別のブースの他にScenofestと名づけられたテーマ展示が行われた。これはOISTAT教育委員会が主導して行われた企画であるが、各国の舞台美術を学ぶ学生たちが多数参加して、会場で展示物の製作を行ったり、パフォーマンスを行ったり、レクチャーが行われたりと様々な活動が展開されていた。

 SHOW TECHは2年ごとにベルリンで開かれる、劇場設備や舞台芸術の上演に使用される機材や材料などの世界規模の展示会である。会場は、照明技術、舞台技術、音響・メディア技術、装飾と効果の4つのゾーンに分かれていたが、広大な展示スペースに世界中のメーカーが一同に介しているという感であった。総合的な舞台機構メーカーのブースもあれば、キャスターの専門会社、床に貼るテープ屋さんなど、ショーの技術に関するあらゆる種類のメーカーが出展していた。
 ヨーロッパでは新規物件の数が少なく、ほとんどの企業はアジアに注目をしているようである。特に中国がマーケットとして魅力があるようだが、日本企業は中国やバブル期を迎えている韓国などのアジア市場に対して、どう取り組んでいくのだろうか。今回は日本からの出展がなくて寂しいが、日本の舞台関係企業にも2年に一度は新製品を携えて世界にセールスするくらいの勢いがほしいし、アジア市場に対しても積極的にならないと先行きはさらに険しくなるように思える。
 今回、個人的には舞台技術では仮設機材、照明技術ではLEDの照明器具に注目していたが、非常に優れた製品がたくさん展示されており、世界の流れが変わりつつあることが感じられた。詳細については、もう少し分析してから、改めて紹介したい。

SHOW TECH照明技術部門
SHOW TECH会場風景



(株式会社シアターワークショップ代表 伊東正示)

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No.138

みんなでつくる大船渡市民文化会館
〜より楽しく、仲良くなれる場づくりをめざして〜

 大船渡市は岩手県南部の太平洋沿岸にあり、リアス式海岸を持つ美しい海と山々に囲まれた人口約43,000人の街です。
この街に来年、大船渡市民文化会館(仮称)が誕生します。
この施設では、設計者の新居千秋氏の提案により、設計当初、誰でもいつでも参加できる「市民文化会館を創る会」をスタートさせ、その後、「企画運営委員会」へと発展的に移行し、これまで、多くの市民にご参加をいただきながら、さまざまな検討や取り組みを行ってきました。
 特に、「企画運営委員会」と市の共催で実施しているプレイベントでは、市民が企画から実施まで係わり、多くの方にご来場・ご参加をいただいています。
 昨年度は、第1弾として8月に「はじめの一歩!!大船渡市民文化会館模型展」、第2弾として11月に「みんなでペイントアート」を開催しました。

第1弾プレイベントの様子 第2弾プレイベントの様子

 そして、今年度、第3弾として6月24日(日)に「映画上映会&現場見学会」を開催しました。
 今回は、地元のフラの先生と生徒さんによるフラの演技や指導の後、映画「フラガール」を上映し、最後に会館の建設現場の見学会を行いました。
初めての有料催事、初めての本格的な舞台、ということで、とにかく大わらわでしたが、多くのお客様にご来場いただき、無事終えることができました。

 日頃から、企画運営委員の皆さんは、個々の希望や利益よりも会館に必要なことを優先して考え、建設的に議論を行っています。
 今回のイベントは、来場者アンケートの結果、8割の人が「満足した」と答え、大成功に終わりました。その一方で、委員の間では、いくつか反省点もあげられ、今回の経験をこれからの活動に活かしていくものと期待しています。
 今後、開館後の自主事業の企画・制作が始まり、市民の皆さんにより深く参画していただくことが必要になってきます。一方、あまり時間がないけれど何かしたい、という方とのつながりも大切にしながら、さまざまな参加・参画の機会をつくり、より多くの方が、この施設に係わり、それぞれの楽しみや喜びを見出してもらいたいと願っています。


 【大船渡市民文化会館(仮称) 施設概要】

 ●所在地 :岩手県大船渡市盛町下舘下
 ●施設構成
ホールゾーン   :大ホール(約1,100席)
          楽屋(大・中・小楽屋各2室)
ファクトリーゾーン:マルチスペース(約250m2)、
          展示ギャラリー、アトリエ、スタジオ、和室
          茶室、会議室、練習室(3室)
図書館ゾーン   :図書館(約16万冊収容可能)
その他      :レストラン、駐車場、駐輪場など

大船渡市ホームページ http://www.city.ofunato.iwate.jp/


(株式会社シアターワークショップ 山下 貴子)

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No.139

ホールの事件簿

これは日ごろホールで働いている私が遭遇した事件を簡単にまとめたものです。

【高圧線事件】

 ある朝内線電話が鳴り出ると「高木(私)さん!水が水が!大変だ!」と施設管理の人がかなり慌てている。地下の現場を見に行くと、配水管から水が漏れその水が天井裏をつたって高圧線の天井にまで浸水し、ポタポタと水が漏れ高圧線を濡らしている。
 さすがに私も驚き、まずは配水管からの水漏れを防ぎながらバケツで水を汲み出すことにした。しかし場所が天井なだけに水(汚水)が入ったバケツをロープで縛り床に下ろさなくてはならず、この時私は下にいたのでバケツが傾き思いっきり水をかぶってしまった。そして着ていたポロシャツはグレーの水玉模様になったのだが、そんな事を気にするよりも水だと延々バケツリレーを繰り返す。
その後、Aさんに呼ばれて高圧線室内に入りそこで見たものは・・・

Aさん

「高木さん、あれ火花だよね。」
(他のスタッフはずっとバケツで水を汲み出している)

私 

「そうですね。高圧線から火花が見えますね。」

Aさん

「電気屋すぐ呼ばないと駄目だね。」

私 

「そうですね。」
 (かなりの非常事態なのだが、2人とも普通に会話している。)


<電気屋が来てからの会話>

電気屋

「すぐに電気をとめて線を拭かないと、近隣にも影響が出ます。」

Aさん

「電気をとめます。高木さん館内のお客様に移動してもらいましょう。」

私  

「現在2件のお客様が利用中です。状況を報告して別会場へ移動して頂きます。」


そしてお客様には移動して頂き、スタッフ総出で空調もきかない真っ暗な中、高圧線を拭くという貴重な経験をした。幸い作業と天井の乾燥を含め1時間ほどで終了した。
この時私は非常事態が発生した時、スタッフがいかに状況を冷静に判断し対応出来るかで、被害内容が変わるという事を改めて感じた。

今回はこの事件を上げましたが、まだまだたくさんあります。
また、全国のホールで今日も何かしらの事件が起こっていることでしょう。
ホールで同じ日が続くということは無く、日々楽しく過ごせたらいいなと思いながら今日も働いています。

(株式会社シアターサポート 高木由佳)

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