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No.148

フォロースポット室の前面ガラス開閉について

フォロースポット室前面ガラスの客席側を清掃する場合、2階席や3階席から清掃道具が届けば清掃は可能ですし、清掃デッキや吊パイプを建築的に設けてガラス前面までアプローチして清掃する計画もあります。
今回は劇場・ホールの最後部に設置されているフォロースポット室の前面ガラスの開閉事例を紹介します。

ひとつはフォロースポット室側に排煙窓のように倒して、客席側のガラス面を清掃する方法で、ハンドルによって窓を閉めます。(実際はもう少し部屋側に倒れます)
身を乗りだすことになりますので、清掃用の道具を使っての清掃作業となります。
(体が大きければ届くかもしれませんが・・・)

写真1 写真2

ふたつめは扉のようにフォロースポット室側に窓を開ける方式です。
清掃をする際には、ガラス面にフォロースポットの追突を防止するためのLアングルなどが設置されますので、取り外す作業はありますが、部屋の中で清掃をすることができます。

写真3 写真4

いずれの事例もガラスの前のフォロースポットや整流器からのケーブルを移動する作業が必要となります。
また、計画的には防火シャッターを中止したり遮音を考慮したりと、クリアする項目は多々ありますが、他の事例があればまた紹介したいと思います。

(株式会社シアターワークショップ 松木 優)

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No.149

透視図とバロック劇場

〜バイロイト辺境伯オペラハウス〜
客席から舞台
客席から舞台

バイロイトは、ドイツの南東にある小さな街だが、リヒャルト・ワーグナーのバイロイト音楽祭で有名である。また、バイロイト祝祭劇場は、劇場の歴史の中では金字塔のごとく扱われている。しかしバイロイトには、もう一つ特別な劇場がある。辺境伯オペラハウスである。
ワーグナーがバイロイトに辿り着いた当初、この辺境伯オペラハウスを拠点にすることを考えていた。しかし彼の舞台芸術のスケールは、ここにおさまらないと判断し、独自の祝祭劇場の設立に至る。
辺境伯オペラハウスは、オペラやバレエの創世記に活躍した建築家であり舞台美術家であるジュゼッペ&カルロ・ビビエナ親子によって建築された。彼らの遺構はいくつか現存するが、その中でも荘厳さに秀でており、保存状態も良いものである。
この時代の劇場は、まだ独立した建築分野ではなく、宮廷の附属施設の意味合いが強く、外観には特徴的な意匠は施されていない。しかしながら客席、舞台の内装は、バロックの虚飾の世界を存分に発揮している。「虚飾」という言葉が正しい表現か分からないが、この劇場の特徴を一言で述べれば、装飾である。繊細かつ精緻な装飾が全ての壁・天井を埋め尽くしている。この装飾は2つ要素に大別できる。

舞台から客席
舞台から客席

一つは彫刻である。金細工のような立体的な彫刻が各ボックス席に配置され、暗がりにも最後まで輝く姿が印象的である。もう一つは絵画である。この劇場では通常の建築より絵画を多用している。天井壁画はもとより、それを囲うモールや、唐草模様、柱頭に至るまで、本来ならば立体で表現される装飾部位にいたるまで絵画によって表現されている。
また、特筆すべきは、天井の壁画が舞台から客席に向けて徐々に小さく描かれていることで、実物以上に奥行を見せている。つまり透視図法(パースペクティブ)を採用した絵画であり客席空間であることだ。バロック期は、ルネサンス期に発明された透視図法(パースペクティブ)が完成された時期で、設計者のビビエナ一族は透視図法を用いた舞台美術を完成させた。この時期、劇場建築と舞台美術の区別はなく、彼らの舞台美術の技術が劇場建築に発揮された作品と言える。この意味で、バイロイト辺境伯オペラハウスは、舞台美術的でトリックに満ちた劇場といえる。
透視図法は、絵画を立体的に見せる技法として画期的な技術といえる。しかし、同時に欠点もあり、透視図の焦点に対峙する位置にいないと、その立体性が歪み崩れる。また、その位置は1点しかないことだ。厳密に述べれば、1つのパフォーマンスを多数の観客に見せるための劇場であるのに、正確な姿が見られるのは1点、一人にしか与えられていない。焦点から外れるほどステージは歪み、逆効果ともいえる。では唯一透視図が正確に見られる席はどこにあるのか。それは舞台正面の貴賓席である。焦点に集中して描く透視図法と、コミュニティーの頂点に立つ権力者という体制に、どこか共通した要素があるのではと思えてしまう。少なからず、バロック期において透視図法は、建築をより広く、より立体的に見せ、装飾とともに、空間の荘厳さに寄与していると言えよう。  

(株式会社シアターワークショップ 小林徹也)

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