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No.157

生命(いのち)

 昨年の日本で起こった殺人事件のうち身内殺人が5割を超えたと報道があり唖然とした。父母が子供に殺されてしまうのである。または父母が子供を殺すのである。父が母を殺し母が父を殺すのである。家族崩壊、いや、この国の心の崩壊と言って良いのではないだろうか。もっとも信じている家族が殺人者となって家族を襲うのである。誰を、何を信じて良いのか解らなくなる。では、いったい何故こんな有様になったのかを考えたとき、私はまず「言葉力の低下」を挙げたいと思う。言葉の持つもっとも大切な力は「相手の体温を測る重要な道具」という点だ。「この人がこういう傾向の言葉を口にする時どういう心情であるか」「相手がどんな傾向の言葉に怒るか」「どういう言葉に笑うか」を解っていれば、相手の気持ちを傷つけることなく対応し易い筈だ。自分の意見や考えを押しつけるのではなく「会話によって互いの体温を測ること」を構築することによって人としての関係も円滑になり、ともすれば逆にこちらの心情も相手に伝わりやすくなる。今流行のKYとは、実はその場の空気を読めないのではなく、人の体温を心で感じられない、という意味かもしれない。
 言葉はとても難しい。一言多くて傷つけ、一言足りなくて傷つける。「相手の心を完全に理解すること」など出来ないけれども「積み重ねた会話」によって相手の体温に、より近づく、或いは共感できる何かを発見することは出来る。今の若者がキレやすいのは食べ物のせいだ、といった人がいるが違う見方もある。人は自分の気持ちを言葉に代えて人に伝えることが出来ないと、その苛立ちでキレてしまう。相手の言っていることが半分も理解できない、もどかしさにキレてしまうことがある。そしてキレたら話はそこで止まったり、うやむやになることが多いので、キレることで責任を取らずに誤魔化して逃げることが出来る、と錯覚する。きちんとした謝罪も出来ないほど会話が下手だと、その場から逃げ出すしか手はないからだ。でも人は騙せても自分は騙せない。繰り返すうち心は歪む。こうして何一つ自分で解決せず、苦労を重ねもせず、現実から逃げ回ってばかりいれば次第に心根性根は腐る。やがて都合の悪いことは全部人のせいにする。そして自分の甘えが通らないことで身近な存在や近親者に憎しみを抱くようになる。親族殺人の経緯はおよそこういったことだろう。目上の者が目下の者へ褒めるところは褒め、諭し、きちんと叱るべきところを叱るのが普通の人間関係だ。先輩後輩や目上目下という上下関係を疎ましく思うのは間違いだ。人間同士、大切な人との価値観や精神環境がずれ始めたら必要とあらば早めに修正する。この事が誤解を解き、憎悪を生まぬ「言葉」の大切な力だ。会話によって人は人になる。人への優しさによって己の精神を律する、という心の働きを失えば、人は「悪知恵」がある分、動物以下になるだろう。まずは人の言葉に耳を傾けるところから、そして下手でも話しかけることで生命を繋いでいこう。

(株式会社シアターサポート 清水暢一)

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No.158

適切な分煙への手引きを目指して

 突然ですが、みなさんは愛煙家ですか?嫌煙家ですか?
 近年、喫煙は「ND(ニコチン依存症)」という病気として捉えられるようになり、さまざまな喫煙関連疾患の危険因子であることも明らかになってきたことから、世界的にも禁煙の動きが広まっています。
 実際、私の周りでもタバコを止めたという人が増えていますし、私自身3ヶ月前に禁煙に成功したばかりです。
 様々な公共施設などでも禁煙・分煙が進められ、外でも喫煙場所が限定、区によっては禁煙化されたりと、明らかに愛煙家の肩身が狭くなっていくのを私自身肌で感じていました。しかし、いざ吸わない立場の目で何気なく生活していると、限定された分だけ逆に喫煙者が目立ってしまっている気がします。

 私の勤めるホールでは、館内で喫煙可能なスペースというのは限られていて、そこでの喫煙の可否の判断も主催サイドにお任せしています。多目的ホールということもあり、毎回様々なジャンルの催事が行われ、来場される方も様々・・・となると、来場者数の中での喫煙率も当然変わってきます。それに客層や企業イメージなども含めた上で主催側も喫煙・禁煙の判断をするわけですが、予想以上の人が灰皿の周りに集まって窮屈な思いをされたり、不完全な分煙から、喫煙されない来場者に不快感を与えてしまうというケースも少なくないように思えます。
 禁煙・分煙の動きが広まっていると冒頭に書きましたが、それはあくまで世間一般の話。お客様にその判断を任せているホールのスタッフとしては、愛煙家・嫌煙家に関係なく、主催・来場者全員に気持ちよく帰っていただけるように、どういった対応が適切なのかをよく考えていく必要があると思います。

(株式会社シアターサポート 吉田健一郎)

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